PICTURE BOOK — STORY 15

弟の太陽

2026.03.27 公開

ある日の午後。

第15話 弟の太陽 挿絵01

つるるんとんの扉が、ちりんと鳴りました。

入ってきたのは、

子熊の兄弟でした。

弟は胸を張って、

元気いっぱい。

その少し後ろを、

大きな体のお兄ちゃん熊が

静かについてきています。

第15話 弟の太陽 挿絵02

つる君は

にこっと笑いました。

「いらっしゃい。今日は兄弟で来てくれたんですね。」

第15話 弟の太陽 挿絵03

弟の子熊は

元気よく言いました。

「僕、1番!!」

第15話 弟の太陽 挿絵04

「先にしてください」

「ぼく明日、テニスの試合があるんです!

「かっこよくしてください!」

お兄ちゃんは

少しだけ苦笑い。

「弟を先にお願いします。」

まずは ヘアカット。

つる君は弟の髪を

チョキ、チョキ。

弟はずっとしゃべっています。

第15話 弟の太陽 挿絵05

「ぼく、この前もテニスで優勝したんです!」 

第15話 弟の太陽 挿絵06

「学校でも成績で1番とって、すごいって言われてて!」

第15話 弟の太陽 挿絵07

「この間なんか先生に

〈あなたは光輝く太陽のようね!〉って

第15話 弟の太陽 挿絵08

褒められたの!」

 

「照れちゃうよ」

その様子を

お兄ちゃんは静かに見ています。

第15話 弟の太陽 挿絵09

弟の髪が整うと

鏡の前で弟は言いました。

「わあ!かっこいい!」

つる君は笑いました。

「自信がある顔ですね。」

第15話 弟の太陽 挿絵10

次は お顔剃りと毛穴洗浄。

弟は、お顔剃り時も楽しそう。

第15話 弟の太陽 挿絵11

そして、お顔の毛穴洗浄。

るんちゃんが

ふわふわの泡を作ります。

弟は少しくすぐったそうに

笑っています。

第15話 弟の太陽 挿絵12

最後は

極みヘッドスパ。

るんちゃんの手が

ゆっくり頭を包みます。

弟は気持ちよさそうに

うとうと。

第15話 弟の太陽 挿絵13

施術が終わると

弟は言いました。

「次はお兄ちゃん!」

第15話 弟の太陽 挿絵14

「お待たせ致しました。」

次はお兄ちゃんの髪を整えます。

第15話 弟の太陽 挿絵15

チョキ、チョキ。

つる君が聞きました。

「今日は弟さんの付き添いですか?」

お兄ちゃんは

少し考えてから言いました。

「まぁ……そんな感じです。」

第15話 弟の太陽 挿絵16

弟が横から言いました。

第15話 弟の太陽 挿絵17

「お兄ちゃんすごいんですよ!」

「勉強も教えてくれるし!」

第15話 弟の太陽 挿絵18

「テニスの練習も一緒にしてくれて!」

第15話 弟の太陽 挿絵19

「ぼくが試合で勝てるのも、

成績で1番獲れるのも、

お兄ちゃんのおかげなんです!」

「それにこの間、

ぼく貧血で倒れた時も、

おんぶして急いで病院に

連れていってくれたんです。

第15話 弟の太陽 挿絵20

店の中が

少し静かになりました。

るんちゃんは

ふわふわの泡を作りながら言いました。

「じゃあ弟さんの太陽は

お兄ちゃんなんですね。」

第15話 弟の太陽 挿絵21

弟は

すぐに答えました。

「うん!」

「ぼく一人じゃ、できないもん!」

第15話 弟の太陽 挿絵22

お兄ちゃんは

少し驚いた顔をしました。

そして

少しだけ笑いました。

極みヘッドスパが終わり

鏡を見ると、

お兄ちゃんの顔は、

少しだけ誇らしそうでした。

第15話 弟の太陽 挿絵23

帰り道。

弟は

うれしそうに話しています。

「ねえ、お兄ちゃん!」

「また練習つきあってね!」

第15話 弟の太陽 挿絵24

お兄ちゃんは

照れくさそうに言いました。

「しょうがないな。」

弟の太陽は

空にあるんじゃありません。

それは

ずっと隣で歩いている

お兄ちゃんでした。

第15話 弟の太陽 挿絵25

そして今日もまた。

つるるんとんから

心が少し軽くなったお客様が

帰っていきました。

〈終わり〉

物語の舞台となったお店で、
あなたもととのいませんか。

絵本の中のつる君・るんちゃんが、実際に施術を担当いたします。
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