PICTURE BOOK — STORY 4

美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜

2025.11.27 公開

──くたびれ狼が坂道をのぼれなかった日**

森の外れに、一匹の狼がいました。

名前は くたびれ狼。

毎日がんばりすぎて、心も肌もボロボロ。

目の下のクマは「がんばった証」のようにくっきり残り、

毛並みはくしゃくしゃ。

朝、鏡を見るたびにため息ばかり。

第4話 美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜 挿絵01

ある日、会社へ向かう坂道で足が止まりました。

「…もう無理かも」

ほんの少しの坂なのに、胸の奥がズキンと重たくなる。

そんな時、ふと道の向こうで

ひだまり色のひかり が揺れました。

それは「つるるんとん」の看板。

やわらかい灯りが、まるで「おいで」と言っているよう。

第4話 美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜 挿絵02

くたびれ狼は、ゆれるひだまり色の光に引き寄せられるように

「つるるんとん」の前まで歩いていき扉を開きました。すると、

ちいさな茶色の影がトコトコと走ってきました。

それはつるるんとんで飼われている 愛犬ロナ。

第4話 美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜 挿絵03

ロナはくたびれ狼を見るなり、

ぱあっと目を輝かせました。

「(あそんでくれる人だ!)」

ロナのしっぽがふわふわ揺れ、胸元のひまわりの首飾りが小さく光ります。

でも途中でロナは立ち止まりました。

くたびれ狼が、少し震えているのに気づいたからです。

ロナは首をかしげ、

そして、そっと鼻先でくたびれ狼の手に触れました。

その瞬間、

ひまわりの首飾りから “ちいさな光” がポッ、とこぼれました。

第4話 美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜 挿絵04

あたたかくて、

胸の奥までそっと届く光。

くたびれ狼は思いました。

「なに、この…やさしい感じ…?」

ロナはくるりと振り返り、

入口の近くあるソファーにぴょこんと飛び乗った。

「まずはここに掛けて」と優しく微笑んでいるように見えた。

その優しい誘いに背中を押されるようにソファーに座ると

ロナはそっとくたびれ狼に体を寄せて座りなおした。

第4話 美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜 挿絵05

すると奥からるんちゃんが首元の「光の雫」を揺らしながら

「いらっしゃいませ」と迎えてくれた。

第4話 美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜 挿絵06

くたびれ狼はびくっと肩を揺らしました。

知らない店、知らない人、そして今日は心が弱っている。

るんちゃんは狼の表情をちらりと見て、

無理に明るい言葉をかけるでもなく、

気を遣いすぎるわけでもなく、

ただ自然に、やわらかく続けました。

「こちらへどうぞ」

くたびれ狼は少し戸惑いながらも、

るんちゃんに促されるまま案内された椅子へ向かいます。

「まずは風のシャンプーで、全部いったんリセットしましょう。

 髪も、気持ちも、ね。」

そして、くたびれ狼の髪を風のシャンプーがふわりと包み込みます。

ゴォ〜… ゴォ〜…

第4話 美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜 挿絵07

風というより嵐だな。、、

なんてふと、くたびれ狼は笑いが込み上げてきました。

そして、その風の音が今日あった嫌なことや胸の重さ、

気づかないふりをしていた疲れを

少しずつ洗い流していくようだった。

──日だまりと雫がほどくもの**

風のシャンプーが終わると、

つる君が静かにハサミを持ち、椅子の横に立ちました。

「ここからは、僕が担当しますね。」

そう言うつる君の左手には、

細く金色に光る 日だまりの輪 のブレスレット。

第4話 美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜 挿絵08

カットが始まると、

ハサミのリズムに合わせてその輪が、

陽だまりみたいにやわらかく揺れました。

チョキ、チョキ。

ただ髪が落ちるだけなのに、

くたびれ狼の胸の奥で

ひっかかっていた小さな不安が

少しずつ静かになっていく気がしました。

第4話 美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜 挿絵09

つる君はもともと、上手く笑えず

「自分に自信を持つこと」が苦手でした。

でも、お客様が喜んでくれる瞬間だけは、

どんな自分も肯定できた。

だからこそ生まれたのが 日だまりの輪。

“人の役に立ちたい” という気持ちが形になったものだと言われています。

カットが終わると、

るんちゃんがそっと近づいてきました。

「お顔、少しだけお疲れみたいですね。今からお顔剃りとお顔の毛穴洗浄をしていきますね。」

お顔剃りとお顔の毛穴洗浄を

彼女の首元では 光の雫 が小さく揺れます。

第4話 美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜 挿絵10

るんちゃんがクレンジングを肌に触れさせた瞬間、

その雫がふわっと淡い光を放ちました。

第4話 美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜 挿絵11

それは魔法ではなく、

「相手の気持ちによりそいたい」という

るんちゃん自身の想いが宿った光。

毛穴の汚れが落ちていくように、

くたびれ狼の胸につまっていた

“今日うまくいかなかった理由” や

“小さく溜まった自分への苛立ち” が

ゆっくり溶けていきました。

第4話 美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜 挿絵12

施術が終わると、

くたびれ狼は肩の力が少し抜けた自分に気づきます。

ただ髪を切って、顔を整えただけ。

でも、それ以上の“なにか”がほどけていく。

日だまりの輪も、光の雫も

不思議な力なんてなくていい。

誰かが誰かを想った時だけ、静かに光る。

そんなふうに思える時間になっていました。

さて次は「極みヘッドスパ」だ。

「では、極みヘッドスパで頭皮のコリをひとつずつほどいていきますね。」

第4話 美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜 挿絵13

るんちゃんが穏やかな声で言いました。

ヘッドスパなのに照明を落とさない、明るい店内。

それなのに、くたびれ狼はなぜか胸の深いところで安心を感じました。

るんちゃんの指が頭皮に触れた瞬間、

くたびれ狼の目の奥で“痛み”に似た疲れがじんわり溶けだした。

「頭皮ってね、心の影響を一番受けやすい場所なんですよ。

 だから今日は、いちばんやわらかくなるようにお手伝いしますね。」

頭皮のリンパを流す指先。

こりをとらえる絶妙な圧。

第4話 美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜 挿絵14

「呼吸が浅くなってる日は、頭皮も固くなるんですよ。

 今日は“極みコース”で、コリの芯から緩めていきますね。」

指先が動くたびに、まるで「大丈夫だよ」言われているみたい。

そして体の力がスッと抜けていく。雲に包まれているような心地良さとと安心感。

第4話 美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜 挿絵15

――ああ、自分って思ったより、頑張りすぎてたんだな。

気づいた瞬間、スッと涙がこぼれそうになった。

――誰かにこんなに優しくされたの、いつぶりだろう。

仕上げに戻ってきたつる君が

ブラシでくたびれ狼の髪を整えていく。

第4話 美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜 挿絵16

鏡の中にいたのは、疲れた狼ではなく、

明日を歩ける顔をした“自分”だった。

ふっと気づくといつの間にか椅子の横で

ロナが元気を取り戻したくたびれ狼を嬉しそうに見つめている。

第4話 美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜 挿絵17
第4話 美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜 挿絵18

つるるんとんは、誰かの明日をそっと支える場所だ。

第4話 美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜 挿絵19

帰りのドアへ向かう前、

くたびれ狼は一度だけ振り返る。

第4話 美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜 挿絵20

つる君の日だまりの輪と、

るんちゃんの光の雫が

店内のやわらかい光を受けてほのかに揺れていた。

そして足元では、ロナが小さく「ワン」と鳴いて

まるで

“またいつでも帰ってきてね”

と言うように見上げていた。

第4話 美肌極み 〜頭皮から始まる美の本質〜 挿絵21

胸の奥が、そっと温かくなる。

くたびれ狼は、軽く息をついて微笑んだ。

「よし。明日も、ちゃんと歩けそうだ。」

その言葉を聞いたかのように、

ロナは嬉しそうにしっぽをふり、

くたびれ狼を優しく見送った。

〈おわり〉

物語の舞台となったお店で、
あなたもととのいませんか。

絵本の中のつる君・るんちゃんが、実際に施術を担当いたします。
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